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チューニング、チューンナップに携わる者として、まず第一に考えなければならないのは【 壊れない 】こと。
馬力=速さに執着するのは勿論ですが、【 壊れない 】ことが前提だと思います。
弊社では、ずっとこの【 壊れない 】エンジンを作るにはどうしたらいいのかを考えてきました。
部品の組み付け精度を上げることも大事ですが、部品自体の精度を上げることも大事です。
我々は与えられた部品(大部分が純正部品)でエンジンを作らなければなりません。
では、その部品の精度を上げるにはどうしたらいいか…
部品をたくさん取り寄せ、その中から公差を打ち消しあう部品を選別することと結論付けました。
例えばコーナーシール。
常時100個以上在庫してます。
1基組むのに必要なコーナーシールの数は12個です。
一度にたくさん仕入れたコーナーシールの直径を計測し、大きさ別に数段階に仕分けします。
その中からロータの各コーナーシール溝に適正なクリアランスを持つものをあてがうわけです。
例えばロータ。
常時10個以上在庫してます。
仕入れたロータはまず重量を測定し、箱に重量を記載し保管します。(たいてい4,300g前後)
過去の記憶では、最も軽量なロータと最も重量のあるロータでは200g以上の差がありました。
勿論、同じ品番でです。(FD用)
(ここ最近仕入れた物の中での重量差は約40gくらいになり部品精度は上がっているように感じます。)
エンジンをオーバーホールする際、ロータを2個とも交換する場合、この在庫の中から重量差10g以内の物を2個選びます。
1個だけ交換が必要な場合、再使用するロータに一番近い重量のロータを選んで組み付けます。
別に弊社が余計な在庫を抱えても平気なほど、財力があるわけじゃないんです。(笑)
純正パーツの部品のバラ付きを、R Magicエンジンの性能のバラ付きの言い訳にしたくないので、
こうやって無駄だと思われるような余分な在庫もしなきゃならんのです。
新しいエンジンが壊れないようにするためにも、古いエンジンが壊れた原因を追究することも大事です。
エンジンを車体から下ろす前に点火系パーツやセンサー類の点検をします。
下ろしながら、センサー類やプラグコード、エンジンハーネスの点検をします。
下ろしたエンジンをバラしながら、ロータハウジングに残ったノッキング痕の確認をしハウジングの歪みなども含め、
総合的にエンジンブローの原因を追究します。
出来上がったエンジンを車体に載せ、エンジンラッピングの途中でも確認作業はあります。
また、慣らし後のセッティングの際も、燃圧等、燃料系統の点検もします。
点検方法は、ブーストが掛かっている状態で燃圧が保持できているかの確認です。
エンジンが壊れる原因は必ずあるはずです。
壊れた直接原因と、その原因が何に起因するものなのか、間接原因の究明が最も必要な作業だと考えております。
点検した各パーツを再使用できるものとできないものに仕分けし、
再使用できないものは基本的には新品パーツに交換します。
その際、強化パーツがあるものに関しては強化パーツを選択していただくこともできます。
純正パーツで充分だと判断した場合は、強化パーツを強くおススメもしません。
そのあたりも、説明をしますので、充分な打ち合わせをしましょう。
では、実際のエンジンオーバーホールの内容を詳しく解説します。
まずはバラしたエンジンの点検項目から…。
目視、触手による点検です。
爪がひっかかるレベルの傷はNG判定です。
ストレートエッジ(直定規)とシクネスゲージを使い、歪み測定します。
オーバーヒート経験があるエンジンは歪んでいる場合があります。
歪みが大きいと圧縮漏れや水漏れ等の原因になるので慎重に行います。
ロータ摺動面の縦磨耗、レモンエリア、オイルシール軌跡の段付き磨耗は目視、
触手だけでなく、ストレートエッジ(直定規)とシクネスゲージを使い測定します。
冷却水を定期的に交換していなかったり、
減った分水だけを補充してLLCが薄くなったまま等冷却水の管理が悪い場合、
この溝が錆びて朽ちている場合があります。
冷却水が燃焼室に入ってくる「水食い」という症状の原因になります。
目視、触手による点検です。
ほぼ100%といっていいくらい、エンジンオーバーホール時には交換になるパーツです。
ただ、磨耗状態とノッキング痕が残る部分なので、特にエンジンブローでオーバーホールのときは、
ブローの原因究明の為にも念入りに点検する部分です。
アペックスシール、コーナーシール、サイドシール及び各シールスプリング、
ロータオイルシール、オイルシールOリングは基本的に純正新品パーツに交換します。
FC、FDのアペックスシールに関しては、弊社オリジナル3分割アペックスシールも選択可能です。
エンジンブローしていなくても、ノッキングが出ていた可能性の高いエンジンのオーバーホールのときは、
アペックスシール溝が開いていないかの点検はかなり重要です。
ロータハウジングのノック痕の点検と連動する点検項目です。
ロータ幅とロータハウジングの幅を計測することにより、
ロータとサイドハウジングとのクリアランスを求めます。
摺動抵抗の少ないエンジンをくみ上げるためには不可欠な測定です。
ストレートエッジ(直定規)とシクネスゲージを使い、ロータランド部の磨耗を測定します。
これも摺動抵抗の少ないエンジンをくみ上げるためには不可欠な測定です。
MAZDA純正SSTと、新品のコーナーシールを使用し、
真円度を計測しながらコーナーシールとコーナーシール溝の摺動抵抗を点検します。
エキセントリックシャフトのジャーナル部の直径と、ロータベアリングの内径を計測。
その差を求め適正なクリアランスか否か点検します。
同時にロータベアリングの真円度を計測します。
真円でなかったりクリアランスが適性でない場合、ロータベアリングをプレス機にて交換します。
●ロータベアリングは全サイズ在庫しています。
目視、触手による点検です。
爪がひっかかるレベルの傷はNG判定です。
ロータ及びステーショナリーギヤの内側のベアリング(メタル)にオイルを供給する部分ですので、
エキセントリックシャフトに取り付けられているスチールボール、スプリング、
オイルジェットプラグを一度取り外した上で、オイルの詰まりがないか点検し、規定トルクで各パーツを組み込みます。
エキセントリックシャフトをVブロックの上に乗せ、ダイヤルゲージにて振れ測定します。
MAZDAエンジン整備書の限度値は6/100mmですが、弊社規定で3/100mmを限度値としています。
純正品にバラつきがあるので、常に5本以上の在庫をしています。
エキセントリックシャフト先端にあるサーモペレットを外し、
お湯を沸かしながら訂正温度でサーモペレットが開くかどうかの確認をします。
エキセントリックシャフトのジャーナル部分の外径とロータベアリング、
メインベアリングの内径の差を求め、クリアランスを測定します。
弊社では、そのエンジンの目標馬力によってクリアランスを変えています。
見落としがちな部分ですが、このニードルベアリング及びオイルシールは弊社ではエンジンオーバーホールの際に、必ず新品に交換します。
他社でオーバーホールしたエンジンを見ていると、交換していない場合が意外と多いように思います。
稀にこのニードルベアリングが走行中破損することがあります。
破損した場合、ミッションのメーンドライブシャフトを傷つけたり、
最悪の場合焼き付きますのでクラッチが切れない状態になり大変危険です。
その際の作業は、ミッションを下ろすことになり、ミッション脱着及びクラッチ・フライホイール脱着工賃が必要です。
目視、触手による点検です。
ベアリングの磨耗はメッキの剥がれ具合、色で判断するとともに、ボアゲージ(内径測定器)による真円度を判定します。
再使用不可と判定した場合、ステーショナリーギヤごと交換します。
ステーショナリーギヤも常時複数個在庫していますので、その中から適正なクリアランスの物を選んで組み付けます。
それでも適正クリアランスが求められない場合は、メインベアリングを打ち替えて適正クリアランスを求めます。
勿論、メインベアリングも内径別に品番が分かれていますので、全サイズ複数個在庫しています。
アウターロータ、インナーロータ、ポンプボディの傷を、目視、触手による点検です。
サイドクリアランス、チップクリアランス、ボディークリアランスをシクネスゲージを使い、
クリアランス測定します。
抵抗値を計測し、ソレノイドバルブの状態を点検します。
導通点検及び抵抗値を測定し、プラグコードの状態を点検します。
劣化により抵抗値が増大していると、プラグの失火からノッキングの原因になるので入念に点検します。
エンジンを下ろす前にディスクモニタやタイミングライトを使って点検します。
導通点検及び抵抗値を測定し、イグニッションコイルの状態を点検します。
劣化により抵抗値が増大していると、プラグの失火からノッキングの原因になるので入念に点検します。
エンジンを下ろす前にディスクモニタやタイミングライトを使って点検します。
ASNUという機材を使い、インジェクタの吐出量や噴射パターン、抵抗値等を点検します。
エンジンオーバーホール時には必ずインジェクタをオーバーホールします。
※詳細は【 ASNU 】のページで解説しています。
FC及び1~3型までのFDは、基本的にエンジンハーネスを新品に交換することをおススメします。
再使用する場合は被覆の補修をしています。
エキゾーストハウジング、コンプレッサーハウジングを外し、ブレードやインペラの傷、ガタ、
オイル漏れ等を点検します。
ホースが劣化していないか、傷が付いていないかを点検します。
ホースが劣化していないか、傷が付いていないかを点検します。
程度により、全てのホースを交換することをおススメします。
殆どの場合、パイプ側に錆があるので錆落としをします。
ガタ、ひっかかり、及び異音が出ていないか点検します。
お湯を沸かしながら訂正温度でサーモスタットが開くかどうかの確認をします。
サージタンク内側の4φ及び6φホースの全てにタイラップ、
場所によってはステンレスワイヤーにて緩み止めを施します。
見落としがちな部分ですが、このオイルシールは弊社では必ず新品に交換します。
他社でオーバーホールしたエンジンを見ていると、交換していない場合が意外と多いように思います。
この部分からのオイル漏れを車上で交換するのは、ニードルベアリングやエンドプレー調整用のスペーサーがズレてしまうことがあり非常に困難な作業です。
やはり他社ではエンジンオーバーホールの際に、再使用している場合が多いように思います。
プレートに傷があると、ニードルベアリングが破損したり焼きついたりすることがあります。
トラブルが発生すると車上ではかなり困難な作業ですので、エンジンを下ろすことになります。
そういうトラブルを未然に防ぐために、これらのパーツは弊社では必ず新品に交換します。
長期的に見て、後々のトラブルの危険性を考え、弊社では全てのガスケットおよびオイルシール類は新品に交換します。
オーバーホール代を安くするために(安く見せるため?)ガスケットやオイルシールを再使用することはありません。
(オーバーホール基本交換パーツの金額が多少高いのはそのせいです)
ラジエターキャップテスターを使用し、開弁圧の点検をします。
仕上がったエンジンにもテスターを使用して、水温上昇により水路の内圧が上がった状況を再現し水漏れ点検をします。
■□■エンジン組み付け作業■□■
最小単位1gの電子はかりで重量測定します。
2個とも再使用できる場合でも、重量差が大きい場合、ユーザーに連絡をして判断を仰ぎます。
重量差が少ない方がより良いエンジンになることは明らかですが、
メーカーがメーカー基準で問題ないとしている部分なので、そのまま再使用することもあります。
1個再使用できる場合、再使用するロータに一番近い重量のロータを弊社在庫の中から選んで組み付けます。
できる限り重量差10g以内の物を選びます。
2個とも再使用できない場合、重量差10g以内の物を弊社在庫の中から2個選びます。
ロータは意外とバリがありますので、細目の板ヤスリでロータの角という角を全部バリ取りします。
板ヤスリでバリ取りした部分と各シール溝、重量バランスのための削り部分をまず600番の耐水ペーパーで磨き、
ついで800番の耐水ペーパーで仕上げます。
少しでも摺動抵抗を軽減し、レスポンスの良いエンジンに仕上げるための処理です。
エンジンのブローバイ対策のためのブローバイカットオフリングシールが採用されています。
これはRX8のローターに採用されているもので、気付いたらFD用ロータにも採用されてました。
高回転まで回すユーザー、サーキットユースのユーザーのエンジンオーバーホールの際には是非取り入れたいパーツではあります。
ハウジングの下面(オイルパン側)にもバリがありますので、リューターでバリを取り耐水ペーパーで仕上げます。